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“喜ばれる”手土産の裏側に秘書の工夫あり|最新おすすめ&選び方2025
ビジネスの場において、手土産は単なる品物ではありません。感謝の気持ちや相手への敬意、そして「おもてなし」の心を伝える物です。会食後のお渡しや訪問時の挨拶代わりなど、その場面は多岐にわたりますが、秘書にとって、相手に心から喜ばれる一品を選ぶことは、まさに腕の見せ所と言えるでしょう。
数ある商品の中から、どのようにして最適な手土産を見つけ出すのでしょうか?
多くの秘書が重視するポイント、そして選び方の秘訣とは何でしょうか?
2024年と2025年の秘書向けアンケート結果を比較しながら、手土産選びの極意を深掘りします。 この記事が、あなたの手土産選びを成功に導くヒントとなれば幸いです。
秘書が教える手土産選びのポイント

手土産選びは、相手への細やかな配慮と、情報収集力が試される秘書の重要な業務です。ここからは、2024年と2025年のアンケート結果から、秘書が重視するポイントとその変化を見ていきましょう。
相手への配慮が最優先:日持ち、軽さ、個包装
手土産選びにおいて、最も基本であり、何より大切なのは相手にとっての受け取りやすさ・扱いやすさです。両年のアンケートで共通して、最も重視されたのが、「日持ちできるもの、賞味期限が短すぎないもの」「重くなく、サイズがかさばらないもの」「個包装になっているもの」の3点です。 いずれも、贈った後の相手の状況にまで配慮した選定基準になっています。一つずつ詳しく見ていきましょう。
日持ち・賞味期限
相手がすぐに食べられない場合や、出張などで持ち運ぶことを考慮し、品質が保たれる期間が長いものを選ぶのが基本です。
「日持ちできるもの、賞味期限が短すぎないもの」は、2024年には17.6%の秘書が挙げましたが、2025年には19.2%と、1.6%増加し、さらに重視される傾向が見られました。 渡すタイミングや、相手が受け取ってから食べるまでの時間を考慮した選択が、相手へのさりげない配慮として伝わります。
重さ・サイズ
相手が手で持ち運ぶことを想定し、負担にならない軽さや、邪魔にならないサイズ感が重視されます。「重くなく、サイズがかさばらないもの」は、2024年は16.0%、2025年も16.2%とほぼ同じでした。 重たい物は持ち帰るのも一苦労です。どうしても重量のあるものを贈りたい場合は、郵送することも検討しましょう。
個包装
「個包装になっているもの」は、2024年には14.3%の回答、2025年には13.1%と1.2%減少してはいますが、引き続き、重要視されているポイントです。複数人で分けやすく、衛生的な個包装はオフィスやご家族で召し上がる際に非常に喜ばれます。どんな時に召し上がっていただけるかを想像してお渡ししましょう。
季節感と相手に合わせて選ぶ
「季節にあったもの」と「相手の好みにあうもの」「先方の地元のもの・ゆかりのあるもの」などの季節や場所に合わせた選び方も挙げられました。
季節感
「夏には涼やかなゼリーやフルーツ、秋には栗を使ったお菓子など、季節を意識した手土産は、心遣いが伝わりやすく、会話のきっかけにもなります 」
というコメントも寄せられており、「季節にあったもの」は、2024年の14.3%から2025年には17.2%へと、2.9%増加し、重視度が高まっていることが伺えます。
もちろん定番商品も良いですが季節を感じていただけるように、お渡しする時期はいつなのかを想定して、季節感に合わせて選ぶこともおすすめです。
相手の好み
相手の嗜好も手土産選びの決め手となります。役員の秘書であれば、会食や会話の中で得た情報が活かされます。「相手の好みにあうもの」は、2024年には8.8%の回答でしたが、2025年には7.1%と1.7%減少していますが、選定基準にしている秘書も多い現状です。相手の好みに合わないものをお渡ししてしまった場合、ご満足いただけないこともあります。相手の方が甘党か、和菓子派かなど会話があった場合はメモをしておきましょう。自分のことを覚えてくれていたと感じていただける贈り物になります。
先方の地元のもの、ゆかりのあるもの
2024年度の回答では2.4%でしたが、2025年度では4.0%と1.6%増加しています。「先方の地元のもの、ゆかりのあるもの」を選ぶケースが増えています。
地元を大切にする方は多くいらっしゃるため、地元への敬意や親しみを込めた贈り物は、ビジネス上距離感が縮まるでしょう。
「あえて渡さない選択肢」
昨今は、手土産を控える企業もあります。先方のポリシーや社内規定によっては受け取りを辞退されることもあり、事前に確認を行う秘書もいました。相手に余計な気遣いを与えないという判断も、気配りになります。
ここまで、秘書の手土産を選ぶポイントを紹介してきました。
2025年では「季節に合ったもの」「日持ちできるもの、賞味期限が短すぎないもの」「先方の地元のもの、ゆかりのあるもの」が増加傾向です。
お渡しするタイミングやお相手に合わせて、手土産を選ぶことがとても大切になりますので意識していきましょう。 次の章では、具体的に秘書が選んだ手土産を紹介していきます。
喜ばれる手土産10選
季節感を取り入れた手土産は、相手への心遣いがより伝わり、会話のきっかけにもなります。実際、どのような手土産をお渡しすると喜んでもらえるのでしょうか。
ここからは、アンケートで秘書の方々から多くの支持を集めた手土産の中から、特に喜ばれる品々を季節ごとと定番のカテゴリに分けて、厳選した10選を紹介します。
【春】華やかさと新しさを贈る
春は、出会いと始まりの季節です。軽やかで彩り豊かな手土産が喜ばれます。
イースター向けチョコレート (ピエール・エルメ・パリ)
「お子様向けにピエールエルメのイースター用の大きなウサギの形のチョコレートを用意した」
との声がありました。季節のイベントに合わせた華やかなチョコレートは、家族向けの手土産としても喜ばれます。
【夏】涼やかさと爽やかさを届ける
暑い夏には、見た目も涼しく、さっぱりといただける手土産が喜ばれます。
夏柑糖 (老松)
3月~7月限定で販売される品です。厳選された純粋種の夏みかんを使用しています。一つひとつ丁寧に果肉を取り出し、凝縮された果汁と繊細な寒天を合わせている品物です。
【秋】豊かな実りと温もりを分かち合う
収穫の秋は、旬の素材を活かした、深みのある味わいの手土産が良いでしょう。
栗きんとん (すや)
創業は元禄時代(1688~1703年)にまで遡る、中津川の菓子文化を象徴する名店です。熟練の職人が選び抜いた栗と、ごく少量の砂糖だけで、一つひとつ丁寧に手作業で生み出され、純粋な栗の美味しさを味わえます。
マロングラッセ(ツマガリ)
上質な栗を使ったマロングラッセは、秋の贅沢な味わいを贈るのに最適です。時間を惜しまずシロップを丁寧に染み込ませた、しっとり濃厚なマロングラッセです。ディロン・ラム酒の良い香りを堪能できます。
【冬】心温まる濃厚な味わいを贈る
寒さが深まる冬は、イベントも多いため、イベントに合わせた手土産が歓迎されます。
最中 オ ショコラ(ゴディバ)
自分で皮に餡をはさむので、皮がサクサクしています。最中はパリパリサクサクで、チョコレートを練りこんだ餡も甘さ控えめで食べやすいです。
クリスマスのチョコレート(ショコラティエ パレドオール)
2024年に三枝俊介氏が創設した日本のショコラティエ(チョコレート専門店)です。季節のイベントに合わせた特別感のあるチョコレートも人気です。
年末会食時のお正月用黒豆
「年末の会食でお正月用の黒豆をいただいた時はセンスがいいなと思いました」
という声があるように、季節感とおもてなしの心が伝わる、上質な和の品が喜ばれます。
ここまで、季節感に合わせた贈り物を紹介しました。旬の素材を使ったお菓子や季節のイベントに合った物をお渡しすると喜んでもらえるでしょう。参考にしてみてください。
【定番】シーンを選ばない安心のセレクト
ここからは季節を問わず、どんなシーンでも喜ばれる、秘書が選ぶ定番品を紹介します。
ラスク(ガトーフェスタハラダ)
日持ちが長く、個包装で配りやすい点が魅力です。 サクサクとした食感と程よい甘さで、性別や年代を問わず高い人気を誇ります。様々な味の種類があることも人気の理由です。
まつのはこんぶ (花錦戸 )
大阪新町に暖簾を掲げる花錦戸が誇る、特別な塩昆布です。松の葉のように繊細に刻んだ昆布を、手間ひまかけてすっぽんの出汁でじっくりと炊き上げています。 山椒の香りが品の良いアクセントとなり、口に運べば、奥深くも澄んだ味わいが豊かに広がります。
お米の詰め合わせ(八代目儀兵衛)
「重たくなりますが、昨今の時事ネタとして」「話題性」
という秘書の声が挙がったギフトです。料理人御用達のお米です。もっちりとした粘り、噛むたびに広がる強い甘みと旨みが特長のごはんです。品質の良いものは大変喜ばれます。
ここまで、定番品を紹介しました。季節感に関係なく贈ることができますので悩んだときは定番品から選んでみてください。
意外と大変!手土産選びの裏側
秘書にとって手土産選びは、お客様に心からご満足いただくために重要な業務です。ここでは、秘書が実際に直面した手土産選びの裏側とプロフェッショナルな対応を紹介します。
無理難題への挑戦
アンケートでは、以下のような無理難題な依頼に対応したというエピソードが寄せられましたので紹介します。
「海外へのお客様への手土産はいつも苦労します。割れないもの+日本らしいもの+重くなくて、でも手土産として重厚感のあるもの+食べ物以外」
能作の錫食器や西陣織のテーブルランナーなどを選定したが、梱包に大変苦労したエピソードです。
「先方のお子様へ、トトロの猫バスのぬいぐるみの購入を頼まれたことがあり、その後、また同じ方へトトロ関係の物を頼まれ、クッキー缶を探し求めて遠方のお店へ、海外の方の中に混ざって並んで購入しました」
「大切なお客様との会食の際、帰りがけにお渡しするのにご家族に満足してもらえるような手土産との指示。結局一つではなく、奥様にはラデュレのマカロン、5歳くらいの男の子にはピエール・エルメのイースター用の大きなウサギの形のチョコレート(高さが30センチ以上あったかと思います)を用意しました」
「テイクアウトをしていないお店のカツサンドを、役員の集まる会議でどうしても出したくて、まずは店主と仲良くなるために一ヶ月かつ丼を食べに通った。すごく怖い店主だったけど、だんだんと仲良くなって、カツサンドも特別に作ってくれた」
複数の無理難題のエピソードから、秘書が依頼内容をそのまま受け止めるだけでなく、相手の期待を超えようという姿勢、粘り強さが感じられます。
「重い手土産」を逆手に取ったおもてなし(秘書のプロ意識)
お酒のメーカーに勤める秘書の印象的なエピソードです。長文になりますが、全文そのまま引用して紹介しますので、ぜひご一読ください。
私はお酒のメーカーに勤めていますが、その関係で自社商品をお土産としてお渡しする機会が多々あります。というか、食品メーカー勤務であれば、ほとんど皆さんそうではないかと思います。本日も、自社商品の焼酎720mlと缶酎ハイ350mlの詰め合わせセットをお渡ししました。これは、非常に重いお土産です。
アポイントは弊社にて13:00~14:00
直帰にしては早い、そのまま次の訪問先に行かれるのか微妙な時間
でも社長は自社商品を渡したい
このような時、私は社長の希望を第一優先としたいので、お客様の次の予定は無視してお渡しします。エレベーターで社長と一緒にお見送り後、私は階段を使って猛ダッシュでお客様を追いかけます。←その時専用の運動靴で。そして一人になったお客様を呼び止めて、今、社長から渡した手土産を一旦回収するんです。
そしてそれを翌日届くようにダンボールに入れて発送するのですが、その時にお渡ししていた商品プラス、また違った自社商品を多めに入れて発送しています。
表向きは、ダンボールに余白ができたので、たくさん入れました~というように言っていますが、私にしか分からない情報(お客様の家族構成や趣味など)を駆使してメニュー選択をしています。例:週末に息子さんが帰ってきて鍋をやる予定←純米大吟醸。
娘の結婚式がある←シャンパンを桐の箱に入れて、グラスに名前エッチング加工。
趣味がキャンプ←缶酎ハイ多め、肉料理に付け込むタイプの紙パックの料理酒
そんなにお酒強くない←ノンアル多め。
ワイン好き←ボジョレヌーヴォー11月下旬~12月 など。
こういった情報は、本人にも先方秘書にも聞くのではなくて、アポイント時に玄関から部屋まで案内する際にさりげなく会話の中から入手するのがポイント←必ず御礼を言われるので、その時に初めてなぜこれらをチョイスしたのかを伝える←そのために、玄関から部屋までのわずかな時間に何を話すか、何度も何度もシュミレーションしておく←その為に、わざとエレベーターを遅くしたり、天気が良いので屋上からスカイツリー見ませんか?とご案内したりすることも有り非常に重い手土産ですが、そのことを逆手に取り、プラスアルファを付けてお届けするので、喜びも倍増され、とても喜ばれています
社長が知らないところで、裏でこういう動きをしていて、社内で誰に褒められるわけでもないですが、お客様からのお褒めの言葉を社長を通じて知った時は、言葉では言い表せないくらい嬉しいですし、やりがいに繋がっています
「手土産を選ぶエピソード」としては少しずれた話にはなりましたが、手土産を渡す前、渡したあと、社長の想い、裏のエピソードなど、秘書として出来ることはたくさんあり、私はそれら含めての手土産だと思っているので、同じ秘書の皆さんにも共有したいと思い、この場をお借りしてご連絡いたしました。
やはり、秘書の印象が良いと、イコール良い会社と思われるし、私も他社にはそう思っているので、些細なことですが、会社のため、社長のためになっていると思って共有いたしました。
単なる手土産の手配を超え、「秘書の印象が良いと、イコール良い会社と思われる」というプロ意識と、究極の「おもてなし」を実行しているエピソードです。社長が知らないところで、顧客の喜びを倍増させる秘書の裏側の努力が伝わってきます。
ここまで手土産の裏側のエピソードを紹介しました。様々な無理難題のエピソードがあるなかで、工夫をして乗り越えて対応されています。 みなさんも参考にしてみてください。
番外編|被らないこだわりギフト
定番品も良いですが、時には相手の記憶に残るような、少しユニークな「被らないギフト」を選ぶのも秘書の腕の見せ所です。
ここからはアンケートから見えた、秘書のこだわりが光るギフトと、その選び方のヒントをご紹介します。
サステナビリティに関するもの
サステナビリティも手土産を選ぶ基準になることもあるでしょう。「バターのいとこ」*のように、社会貢献や環境に配慮した背景を持つ商品は、好印象です。
*「バターのいとこ」は、バター製造の副産物である無脂肪乳を活かしたアップサイクル菓子。廃棄されがちな素材を生まれ変わらせている。また就労支援施設で製造され、地域の雇用や社会参加を支える役割も担っている。生産者・作り手・消費者の「三方良し」を体現したサステナブル商品。
「自分が食べて美味しいと思ったもの」から探す
例えば、有名などら焼き屋の「レジ前に売られているかりんとうが、じつは知られていないだけでとても美味しかったりする」といったエピソードがありました。 秘書自身の気持ちが込められた品は、相手に響くでしょう。
ネットには載っていない「小ネタ」の効いた品
「役員になると、美味しいお店には行き慣れているし、美味しいものも一通り食べているので、こうしたネットには載っていないものに強く惹かれる傾向がある」
という声がありました。
具体的には「巣鴨図書館に毎週水曜日に来ているキッチンカーのバインミー」や「ドンレミーアウトレット上野駅前店の一番奥にある謎の券売機で買うミニソフトクリーム(コーンは旅がらす)」などのエピソードがありました。
日頃から情報収集をおこなっている秘書だからこそ見つけられるこだわりギフトを選んでみるのはいかがでしょうか。 ここまでは被らないこだわりギフトと選び方を紹介しました。定番から選ぶ方が安心ですが、紹介したエピソードを参考にしていつもと違う手土産を選んでみるのはいかがでしょうか
まとめ|お客様に喜ばれる手土産を選ぼう
今回のアンケートを通じて見えてきたものは、秘書の方々が「日持ち」「軽さ」「個包装」といった基本条件を押さえるだけではなく、相手の思考やシチュエーションまで想像しながら手土産を選んでいることです。手土産を選ぶことは会社の印象を左右することもある秘書にとって重要な業務です。
本記事では定番品に加えて、季節に合わせたものや被らないこだわりギフトも紹介しました。 ぜひ今回の内容を参考に、お客様に喜んでもらえる手土産を選んでみてください。
Olive編集局
「秘書の仕事を考えるOliveブログ」編集局です。このブログでは、日本秘書協会様によるゲスト寄稿や、秘書業務のハウツーやOliveの便利な使い方コンテンツをお届けします。みなさまの、いまの秘書業務の改善やこれからの秘書業務のあり方に、なんらか参考になれば幸いです。