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役員秘書が知っておきたい挨拶回りの流れと対応のコツ

年末年始の挨拶は、ビジネスにおいて「ご縁を結び、長期的な関係を築いていく」という重要な意味を持ちます。この時期は役員だけでなく取引先も忙しく、お互い余裕がない中での挨拶回りとなります。だからこそ、秘書の細やかな配慮や対応が、会社全体の印象を左右する重要な役割を果たします。本記事では役員の挨拶回りを円滑かつ効果的に進めるためのポイントや工夫をご紹介します。

年末年始の挨拶回りの意義と変化

日本独自のビジネス文化の一つである年末年始の挨拶回りは、取引先との良好な関係を築くうえで重要なものとされています。
一般的には年末と年始の両方行うことが丁寧とされていますが、企業によってその認識は変わってきているようです。例えば挨拶回りは年末と年始のどちらか1回という企業もあれば、働き方改革や虚礼廃止の影響から、挨拶回りを控える企業もあります。 訪問が丁寧な印象を与えるのは確かですが、相手企業が「挨拶回りは不要」と考えている場合、逆効果になる可能性もあります。取引先の状況に応じて適切な配慮をすることが信頼関係構築の鍵といえるでしょう。

アポがあるお客様への対応

アポが決まっているお客様に対して、秘書が主に行うサポートは以下のとおりです。

(1) 役員が取引先を訪問する場合

・訪問先の選定と順番の確認
 複数の訪問先がある場合、地理的な条件や取引先の事情を考慮した効率的なルートを計画します。移動時間や役員の体力も考慮し、無理のないスケジュールを組みます。

・訪問先の情報収集
 役員がスムーズに挨拶できるよう、取引先に関する1年の感謝や具体的なエピソードを整理しましょう。例として、「今年の共同プロジェクトが成功したことに感謝しています」といった具体的な感謝の言葉を役員に準備しておくと会話が弾み、挨拶回りがより有意義なものになるでしょう。

・手土産の選定
 役員が取引先へ手土産を持参する場合は、取引先が好むものを選びます。相手の嗜好を考慮した選定は、感謝の気持ちを伝えるだけでなく、良好な関係を築く一助となります。

・訪問時のマナー
取引先への訪問は、挨拶だけなら5分から10分程度と短い滞在で済ませます。限られた時間の中で感謝の気持ちを伝えることがポイントです。

(2) 取引先が自社に来訪する場合

・事前準備と環境整備
年末年始の寒い時期には、温かい飲み物を用意する、雨や雪の日にはタオルを準備するなど、季節に合わせた心遣いが求められます。こうした細やかな配慮が、相手に温かさと誠意を伝えるきっかけになります。

・来訪時と退室時の対応
取引先が来訪した際には、「お待ちしておりました」とひと言添えて迎えましょう。歓迎の気持ちを丁寧に伝えることで、相手に温かい印象を与えます。退室時には、「本日はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします」「今年もよろしくお願いいたします」と挨拶を添えます。お見送りは終わりではなく、次にまた来ていただく始まりでもあります。また来たいと思っていただけるよう最後まで誠実な対応を心がけましょう。

アポなしのお客様への対応

アポのないお客様に対して、秘書が主に行うサポートは以下のとおりです。

・役員との対応方針の確認
親しいお客様や友人が、近くに来たついでに突然訪問することは珍しくありません。そのような状況での対応こそが、会社の信頼や印象を左右するものとなります。
アポありの訪問者とアポなしの訪問者に露骨に差をつけることは避けるべきです。突然の訪問であっても、その方が重要な取引先の方や役員にとって特別な存在ということもあります。
このような状況に備えるために、事前に役員と対応方針をしっかりと確認しておくことが大切です。「来訪したらすぐにお知らせすべきお客様は誰か」「お通しするべき人と丁寧にお断りする人の基準」「役員と親しい間柄の方にはどのような特別な対応が必要か」など、具体的なケースを想定した打ち合わせをしておきましょう。

・名刺や手土産の受け取り
役員が不在の場合には、秘書が代わりに受け取り、役員に速やかに報告します。

挨拶の手段とメリットデメリット

従来の形に固執せず相手の状況や好みに合わせて使い分けることで、効率化と温かみのバランスを取れた挨拶回りが期待できます。

・年賀状
年賀状はフォーマルさと温かみを兼ね備えた伝統的な手段です。特に年配の取引先や、長年のお付き合いがある相手には効果的で、丁寧で誠実な印象を与えることができます。手書きで一言添えると特別感が増し、より深い印象を残せます。一方で、近年は年賀状じまいする企業も増えつつあります。

・電話
電話は、声を通じて直接感謝を伝えられる手軽な方法です。電話をかければすぐに相手とつながることができるほか、メールでは伝わりにくい細かいニュアンスを伝えられることもメリットといえます。しかし、相手が忙しい時や不在の場合には、電話に出られないことがあるため、その点がデメリットとなります。

・メール
迅速で柔軟に対応できるメールは、特に多忙な取引先や海外とのやり取りに適しています。手軽に感謝を伝えられる点が魅力ですが、その手軽さゆえに形式的に感じられることも。特に伝統を重んじる相手には軽い印象を与える恐れがありますので、具体的なエピソードを一言添えるといった工夫が必要になります。また文字化けや送信ミスといったデジタルならではの注意点もあります。

・訪問
訪問は、直接会って感謝を伝える最も伝統的で丁寧な手段です。相手の表情や反応を直接確認できるため、信頼関係を深めるうえで最も有効的です。ただし、役員も取引先も移動や準備に時間を取られる点がデメリットです。

オンライン会議という選択肢も

近年では、オンライン会議での挨拶も重要な選択肢となっています。訪問準備が不要な点や効率性の向上など、多くの利点がありますが、場合によっては失礼と受け取られることもあるため注意が必要です。

オンライン会議のメリット

・役員のスケジュール効率化:短時間で多くの取引先と挨拶ができるため、1日で大きな進展が期待できます

・秘書の業務負担軽減:手土産の準備や移動手配が不要になります。

オンライン会議のデメリット

・取引先によっては、対面を希望する場合があります。事前に確認し、相手の意向に応じた対応を心がけましょう。

・機材トラブルの可能性があるため、事前にシステムの動作確認を行い、スムーズな進行をサポートしましょう。

まとめ

今回は、年末年始の挨拶における秘書の役割や対応ポイントについてご紹介しました。訪問時や来訪時の対応、さらにはオンライン会議という新しい選択肢を適切に使い分けることで、効率的かつ丁寧な対応が可能になります。取引先との絆を深め、役員の信頼関係を築いていきましょう。

このコラムの執筆者

Olive編集局

「秘書の仕事を考えるOliveブログ」編集局です。このブログでは、日本秘書協会様によるゲスト寄稿や、秘書業務のハウツーやOliveの便利な使い方コンテンツをお届けします。みなさまの、いまの秘書業務の改善やこれからの秘書業務のあり方に、なんらか参考になれば幸いです。

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