秘書の仕事を考えるOliveブログ

Home > ブログ > 秘書EQ力の向上でキャリアアップを 〜秘書力の可視化〜

秘書EQ力の向上でキャリアアップを 〜秘書力の可視化〜

秘書は、役員や組織全体のパフォーマンスを高めるための重要な役割を担っています。そのためには、自己認識、対人知性、社会的認識といったEQ(感情知性:Emotional Intelligence Quotient)の各要素を深化させることが求められます。秘書には、役員との朝のミーティング、来客の様子、会議に向けた部門との調整など折々で周囲の状況の把握と共に、相手の感情を読み取り、自己を調整する能力が必要不可欠です。
アメリカの企業188社を対象とした調査において、ハイパフォーマーと呼ばれるビジネスパーソンには共通して、自己認識と対人スキルが高いというリポートがあります。他者の感情や自分の感情を把握する「感情認知」の能力が特に重要であることが明らかになり、これが「感情的知性」として広く知られるきっかけとなりました。この能力は、ニューヨークタイムズの記者により先天的な要素が強いIQと対比して、日頃の行動や習慣を変えることで向上できる能力「EQ」として全世界にその概念が広がりました。
感情そのものの測定は困難ですが、行動やその結果は周囲から見える形で現れます。そしてこの行動の基となっているのは知性と感情です。例えば、上司から難しい業務を与えられた際に「うまく遂行することで評価を得られる」と奮起して力を発揮できる人がいる一方で、別の人は「失敗したらバッドマークがつく」と萎縮してしまうかもしれません。そこで自分の行動の特徴や感情をマネジメントすることが、個人の成果を導き出す助けになります。まさにここで有効に使えるスキルがEQです。個人のスキルを高めることで組織、強いては企業の業績向上につなげる善回転のサイクルを作り出すことが可能となるわけです。
また、相互の信頼関係を構築するためには、個人が各々の力量のブラッシュアップに留まらず、役員や同僚、クライアントの感情やニーズを敏感に察知し適切な対応に努めることが重要です。秘書においては、効果的なコミュニケーションを通じて、チーム全体の協力体制を強化し、組織の目標達成に貢献することも大切なスキルの一つです。
さらに、現代のビジネス環境は急速に変化しており、秘書には新たなスキルセットが求められています。デジタルリテラシーやグローバルコミュニケーション能力の向上、柔軟な思考と適応力の育成、そして継続的な学習と自己啓発など、秘書には変化する業務内容への迅速な対応力が必要です。 昨今、各社における秘書のキャリアパスの策定、秘書実務能力の可視化を実現した「S I&A秘書インバスケット」、「秘書EQ」、そしてOne on Oneミーティングを実施する研修パッケージへのニーズが高まっています。これらの研修でもたらされる最大のベネフィットは、秘書のモチベーションの向上であり、個人はもとより企業が目指す大きな目標達成への重要なタスクです。このように各人が自己を認識し行動変容を起こすことに働きかけるEQの新たな活用法が再認識されています。秘書として個人のEQ力を高めることは、各々のキャリアアップだけでなく、組織全体の成功にも直結します。秘書力の可視化・深化を進めることで、変化するビジネス環境に対応できる人間力を高めましょう。

このコラムの執筆者

丸山 ゆかり

一般社団法人日本秘書協会 元専務理事、当協会認定講師
1995 年度ベストセクレタリー(日本秘書協会主催)
株式会社チュニーズ・カンパニー 代表取締役
秘書実務能力開発機構(Pro-Admin JAPAN) 代表 

大手製薬会社にて社長秘書、秘書課長、国際本部営業部欧米課課長。その後、化粧品会社の取締役副社長を経て独立し株式会社チュニーズ・カンパニーを設立。一般社団法人日本秘書協会では、理事として20年間務め、セミナー委員などを歴任。
秘書教育に30年間ほど携わり、2005 年より日本秘書協会主催の秘書実務講座、接遇セミナー等を担当。各企業で展開。企業、自治体、官公庁での秘書研修は 350 件以上。ジャパンラーニング(株)と共同で秘書 EQ を開発し、秘書力向上研修を実施するほか、秘書のスキルアップとキャリアアップのためのオフサイトセミナー「森の秘書会議」を主宰。秘書実務スキルの向上のため、ジョブ型移行・能力評価のための新システムを大手企業秘書室とともに開発し、秘書実務能力開発機構 (Pro-Admin JAPAN)として新時代の秘書育成を展開中。薬剤師・薬学修士・キャリアコンサルタント

サイトご利用について個人情報保護方針会社概要

Copyright © CAC Corporation All Rights Reserved.