秘書の仕事を考えるOliveブログ

Home > ブログ > 秘書に求められる資質

秘書に求められる資質

 私が秘書業務についてから30年近くになりますが、秘書の資質について記載のある書籍や資料をずっと集めてきました。
 秘書に求められる資質は、ほぼ普遍的と思われるものと、環境変化により変わるものがあります。
 後者としては、コロナ禍で秘書に求められるスキルが高度化したITがありますし、オンライン会議、在宅勤務などに代表される危機管理力があります。これらはアフターコロナを含め今後の秘書に継続して求められると思われます。
普遍的な資質について、私がよく紹介する資料が2つあります。1つ目は日本秘書協会の元理事長 故 石川 愛さんが挙げられたもので「ホスピタリティマインド」「私情のコントロール・バランス感覚」「愛社精神」など10項目あります。石川さんは数社にわたって長く外資系企業の秘書をされていたので、担当秘書の視点で資質を選ばれています。
 2つ目は「現代秘書ハンドブック」(現代秘書実務研究会編、実務教育出版、1986年・絶版)に記載されたもので、「敏捷性と沈着性」「頭の回転と集中力」など8項目あります。この本は、秘書管理職などが集まって発行したものなので、管理職の視点で資質を選んでいます。
 こちらの書籍の面白いところは、「敏捷性と沈着性」のように相反することの両方が必要と記載されている点です。

例えば、2つほど紹介します。
・感受性と鈍感性
 来客や役員の気分を読み取る洞察力と、神経質過ぎないある程度の鈍感性。

・社交性と非社交性
 秘書の仕事の3分の2は、人との接触であり対話力など社交性が必要。

 しかし、社交過ぎると機密が漏れないか、役員を不安にさせる。
なぜなら、多くの書類や秘書に話したことは、わざわざ機密と記していないため、秘書が自分で感知しなければならないことが多いからです。
上述の「感受性と鈍感性」などは私も秘書時代にとても苦労をしたことで、役員会や顧客とのイベントなどでは、社長や会長のサポートを行う時に張りつめ過ぎていて、怖い表情になっており、社長にたしなめられた経験があります。神経を張りつめていても、穏やかに振る舞うことができるようになるまで少し修行が必要でした。
 次に、海外の方が書いた秘書の資質について、以下2点をご紹介します。

 ・Ms.Elizabeth M.Clarke
  秘書にとって時間とは、まことに貴重な、しかもたちどころに消費してしまう得がた  
  い商品である。したがって、秘書は自分の職責をすばやく処理することにより、たえ 
  ず予期せざる事態を取り扱えるように準備していなければならない。                    

 ・Ms.Margaret F.Rowe
  秘書にとって事務室は第2の自分の部屋である。自分の容姿を整えるがごとくオフィ 
  スを整える人こそ真の秘書である。

 海外は、役員とマンツーマンが原則なので、より身近でスピーディにこなす資質が求められるのでしょうね。
 さて、最後に日本の古典文学から秘書的業務の資質を抜粋します。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公 紫式部は皇后の秘書のような仕事をしていました。彼女が書いた「紫式部日記」の中に、皇后をサポートする上での資質についての記載があります。
秘書の資質と言っても良いと思います。以下の4点です。
 ・落ち着き
 ・才覚、教養
 ・振る舞い
 ・(安心して仕事を任せられる)能力 
  (「51 女房の資質」 : 心重く、かどゆえも、よしも、うしろやすさも。
  (紫式部日記、 山本淳子訳注 角川ソフィア文庫 2010年))

「紫式部日記」は日記という名称ですが、日々の出来事を綴ったものと、上述のようなメモや随筆的なものに分かれています。
これを見ると、千年前も現代も、あまり変わらないと感じます。
 私が秘書に求められる資質として重視しているのは、役員が必要としているものを察知し、さりげなくサポートする能力です。 言われる前に出すのは差し出がましいですし、言われてからでは遅すぎる場合もあるので、特に難しいところです。阿吽の呼吸でというのでしょうか。ゴルフにおけるプレイヤーとキャディ、浄瑠璃における太夫と三味線引きなどと同じですね。 
 これ以外には機密遵守です。役員は会社の将来に向けて、様々なことを調べて手を打ちます。そのお手伝いをすることがある秘書は、実際には日の目をみなかった調査やその資料などにも触れる機会があります。上述した「社交性と非社交性」の中の「わざわざ機密と記していないため、秘書が自分で感知しなければならない」というのは、機密遵守だけではなく、その機密性を判断する経営知識も必要ということになります。

 今回は秘書の資質について書きましたが、奥深い仕事なのだと改めて感じました。

このコラムの執筆者

及川 学

一般社団法人日本秘書協会 ・元常任理事 ・秘書管理職委員会総括責任者 ・認定講師「経営サポート力講座」「秘書基礎講座」「実践危機管理セミナー」 「新任秘書管理職講座」「秘書のための経営知識」などを担当

■職歴
東証2部IT企業で秘書課長、経営企画部長などを経て 上席理事企画推進本部副本部長、コーポレート本部副本部長、 イノベーションセンター長(本部長)関西支店長(本部長) などを歴任。
退職後、 一般社団法人信書便事業者協会事務局長、一般社団法人日本セルフストレージ協会事務局長を勤める。

■現在
今年3月で40年のビジネスマンを卒業。
本業の傍ら27年間の講師活動も、健康メンテナンスのため例年の40回を今年は3分の1に。
25年前に立てた30個の人生目標の残り2つのうちの1つである、東京と故郷(岩手)の二重生活を4月から着手。

■資格 
中小企業診断士 BCAO認定事業継続初級管理者(国内BCP資格)

■著作
『秘書室長実践マネジメントマニュアル』代表著者(アーバンプロデュース社) 『よくわかる経営知識』 (日本秘書協会)

■講師歴 
経済産業省、総務省、日本秘書協会、 日本IBM、税理法人トーマツ、新日本石油、ボストンコンサルティング、セブンイレブンジャパン、日立製作所、イオン、ブリヂストン、他

サイトご利用について個人情報保護方針会社概要

Copyright © CAC Corporation All Rights Reserved.