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秘書業務スキルの数値化 ~ジョブ型人事制度への対応〜

 1968年スタンリー・キューブリックはコンピューターの「進化」に対する警鐘を鳴らすためHAL9000の暴走を描いたのでしょうか。はたまた「道具」を使える人類の叡智を讃えて抒情詩的SF大作『2001年宇宙の旅』を描いたのでしょうか。
 今や、宅配便やデリバリーサービスにおける最適経路の策定から、医療分野での画像検査、製造業における検品、そして養殖における最適な給餌など、AIが我々の社会生活の周辺に常在し始めています。また、「秘書はAIに取って代わられるのか?」との議論がなされて久しくもあります。

 さて、2021年度以降、新人事制度(ジョブ型人事制度)を取り入れた企業において、秘書管理職やマネージャーの間で交わされている議論のポイントは、秘書をジョブ型人事制度に組み込むための指標の策定に関してです。秘書の評価においては、業務処理のスピードや正確性が重要であることはもちろんですが、秘書業務は結果だけでなく、その過程における対応についても大切である点をどう評価するのか、多岐にわたる役員のサポート業務をどのように評価したらよいのか、またその評価をどのように伝え、活かして将来の部下のモチベーションに繋げればよいのか等々、さまざまな課題が挙げられています。

 これを受け、昨年、大手通信企業の秘書管理職チームから「秘書実務スキルそのものを数値化する」という命題に対しての具体的なご相談を受け、「インバスケット方式」をベースとして、新たなる仕組みを開発するという機会を得ました。当該秘書管理職チームとのコラボレーションにより、トライアルを経て画期的なプログラムに仕上げることができました。

 新しいプログラム「SI&A 秘書インバスケット」の特徴は:

  • 全社的なコアスキル項目と秘書に求められるスキルを紐付け
  • 評価軸のプラットフォームを作成
  • 秘書実務能力を確認する仕組み(インバスケット方式)を創作
  • 受検により、本人の能力をアウトプット
  • 研修形式のディスカッションを通じて、スキルの確認や気づきを得る
  • 上記を踏まえ、各人の結果にアセスメントとスコア付けし、項目別のスキルを評価

 数値化した結果を、管理職から1対1で本人にフィードバックすることで、スキルの向上ならびに本人のモチベーションアップに繋げられる実績も得ることができました。また、上記成功例をもとに、異なる業界の秘書同士で展開することもまた価値があることがわかりました。このプログラムを活用することで、ジョブ型人事制度へ組み込むためのステップが導かれたものと思います。今後、企業への個別導入のほか、筆者が主宰する「秘書のためのオフサイトセミナー“森の秘書会議”」にて同プログラムを実施していきます。

最後に、
このコラムを書くにあたり、ChatGPTに「秘書という職業はAIに取って代わられる可能性はありますか?」と尋ねてみました。 ドキドキして画面を覗き込む私に、彼の答えは・・・。 ぜひみなさんもお試しあれ!


株式会社シーエーシーは「秘書のためのオフサイトセミナー“森の秘書会議”」に協賛しています。

このコラムの執筆者

丸山 ゆかり

一般社団法人日本秘書協会 顧問、元専務理事、同協会認定講師
1995 年度ベストセクレタリー(日本秘書協会主催)
株式会社チュニーズ・カンパニー 代表取締役

大手製薬会社にて社長秘書、秘書課長、国際本部営業部欧米課課長。その後、化粧品会社の取締役副社長を経て独立し株式会社チュニーズ・カンパニーを設立。
2005 年より日本秘書協会主催の秘書実務講座、接遇セミナーを担当。2021 年よりジャパンラーニング(株)と共同で秘書 EQ を開発し、研修を実施。
2022 年より、秘書のスキルアップとキャリアアップのためのオフサイトセミナー「森の秘書会議」を主宰。
大手企業秘書室と共同開発した秘書の実務能力評価のための新システムを展開中。
企業、自治体、官公庁での秘書研修は 300 件以上。
薬剤師・薬学修士・キャリアコンサルタント

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