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デジタル時代の秘書の整理術


早いもので2023年も最後の月となりました。今年は新型コロナウィルス感染症の影響が縮小し、5月には感染症法上の位置付けが5類感染症になりました。一昨年より、コロナ禍によるリモートワークの浸透などから、対面の機会が減少していましたが、段々と状況が変化しています。出社率が上昇し、対面の機会も増えたことでしょう。通常業務に加え、年末年始に向けた業務も増加し、役員を支える秘書の皆さんは多忙な時期を過ごされていることと思います。

年末には様々な恒例行事がありますが、その一つに大掃除があります。ご家庭でも年始を迎えるにあたり不要な物を整理したり、大掃除を行ったりしますが、会社でも役員が新たな年を迎えるために執務室の掃除や様々な資料の整理が必要となります。日常的に整理整頓や掃除は行っているものの、大がかりな対応をすることはなかなか難しいため、年末に重点的に取り組む方も多いでしょう。

私もこれまで年末の大掃除の時期には、執務室の掃除や、そこかしこから出てくる不要になった大量の資料をシュレッダーにかける作業を行っていました。ただ、ここ数年は紙の使用量が大幅に減少し、年末の大掃除の対応項目も少しずつ変わってきています。気候変動抑制や自然環境保全への寄与、SDGsにおいて企業のペーパーレス化が重要視されていること、コロナ禍で浸透したリモートワークやオンライン会議などにより、これまでなかなか進まなかった紙文化からの脱却が進んでいることを感じます。

そのような背景もあり、現代のビジネス環境は急速にデジタル化が進み、その中で秘書の役割も大きく変化しています。ペーパーレス化はその代表的な変化であり、これによって秘書は業務の効率化や情報整理に新たな対応が必要となります。

情報整理の一つに、デジタル化されたドキュメント管理があります。これまで秘書が行っていた紙の資料のファイリングではなく、文書や資料のデジタル管理が不可欠です。インボイス制度の開始や、改正電子帳簿保存法の猶予期間が終わり来年1月から実施される「電子取引」に関するデータ保存義務化など、今後電子データでの対応が必要とされます。格納するファイル構造の見直しや共有ファイルにある不要な資料の削除を随時行うなど、ファイル内の大掃除もこれからは更に重要になります。クラウドでのドキュメント管理をはじめ、必要な情報を即座に取り出し、共有や編集作業をスムーズに行うなどの効率化を検討することも必要です。

デジタルデータの増加と共に、情報セキュリティへの意識も高まっています。秘書は機密情報の取り扱いに細心の注意を払い、セキュリティポリシー遵守の徹底も必要となります。年末はセキュリティの点検を行う良い機会ですので、パスワードの変更やセキュリティソフトのアップデートなどデジタル環境を安全に保つための作業も必要です。

かつての手書きのスケジュール管理から、デジタルなカレンダーアプリケーションへの移行により、スケジュール共有や自動リマインダー機能の活用など、効率的な業務対応が可能となりました。そして、デジタル時代の秘書にとって、ペーパーレス対応は欠かせないスキルとなり、年末の大掃除は形を変えデジタル整理が不可欠となっています。効率的なデジタル業務と整理術を併せもつことで、秘書は新たな一歩を踏み出し、仕事の質を向上させることができるのではないでしょうか。


このコラムの執筆者

藤田 久美子

コムチュア株式会社
コーポレート本部 社長付秘書役 兼 広報ユニット長

東証一部上場の大手建設会社や食品メーカーなどで20年以上にわたり役員秘書を経験。現職では未上場からJASDAQ、東証二部、一部の市場転換を経験し、秘書室長や広報室長に従事。一般社団法人日本秘書協会では、月例会委員、セミナー委員を担当し、2015年から全国秘書会議実行委員を務める。

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