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変革の年に求められる秘書のスキルとは

2025年は「巳年」、さらには60年に一度の「乙巳(きのとみ)」にあたる特別な年です。「巳」は、脱皮を繰り返しながら成長することから「再生」と「変化」の象徴とされています。また、歴史を振り返ると645年の大化の改新に始まり、「辰巳天井」と言われるように辰年と巳年が続く年は、株価の大きな変動が起こりやすいといわれる年でもあるそうです。巳年は、大きな変革のチャンスとなる年といえるかもしれません。

年初には毎年新たな目標を立て、チャレンジを進めている方も多いのではないでしょうか。しかし、人間にはもともと損失や失敗を回避したいという心理から、「現状維持バイアス」というものがあり、本能的に変化を嫌う生き物であるといわれています。また、年齢を重ねるほどこのバイアスが強くなり、変化を恐れる傾向があるそうです。

企業のなかでも、従来の方法を変えたり、新たなチャレンジを試みたりすることは大きな抵抗が伴います。特に秘書業務は、企業の基幹業務を担う役員のサポートという特性から、リスクを重要視し、変化を避けることがあるのではないでしょうか。では、どうすれば私たちは変化に柔軟に適応し、よりたくましく生きることができるのでしょうか。

私も “今年はこれを変えてみよう”、“これにチャレンジしてみよう”と、新たな目標を立てたにも関わらず、多忙を理由に先延ばしし、なかなか行動に移せないという経験があります。

そんな時に知ったのが、「ペップトーク」です。ペップトークは、もともとアメリカで誕生したコミュニケーションスキルで、スポーツの試合が始まる前に、監督やコーチが選手を励ますために行う、短い激励スピーチのことです。ポジティブな言葉でやる気を引き出し、昨今はスポーツの世界だけでなく、ビジネスでも広く取り入れられています。

野球の大谷翔平選手がWBCの決勝戦前にチームメンバーへ「今日だけは憧れるのをやめましょう。勝つことだけを考えましょう」と伝えたことで、チームの士気が更に上がり、優勝につながったことが話題になりました。

ペップトークは相手に使うだけでなく、自分自身に対しても活用することができます。私も新しい業務に挑戦するときなど、「これまでやったことがないので上手くいかないかもしれない」と不安に思うのではなく、「初めてのことでも、少しずつ学んでいけば必ず成長できる」「とりあえずやってみよう!」と自分を励まし、少しでも前向きな気持ちで業務に取り組むようにしています。

変化の時代において、秘書が果たすべき役割は単なる業務のサポートにとどまりません。組織内で円滑なコミュニケーションを行うことで、ボスやチームの士気を高め、結果的に会社全体の成長を支援することができます。そのためには、従来の業務をこなすだけでなく、新しいスキルや考え方を積極的に取り入れる姿勢が不可欠です。 2025年は、変革を恐れずに一歩踏み出す年。秘書という仕事においても、新たなチャレンジを楽しみながら、柔軟な発想と前向きな姿勢で未来を切り開いていきましょう。


このコラムの執筆者

藤田 久美子

コムチュア株式会社
コーポレート本部 社長付秘書役 兼 広報ユニット長

東証一部上場の大手建設会社や食品メーカーなどで20年以上にわたり役員秘書を経験。現職では未上場からJASDAQ、東証二部、一部の市場転換を経験し、秘書室長や広報室長に従事。一般社団法人日本秘書協会では、月例会委員、セミナー委員を担当し、2015年から全国秘書会議実行委員を務める。

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