秘書の仕事を考えるOliveブログ
秘書アンケート2025|キャリア・働き方・資格の“これから”を考える
役員をサポートする役割として多岐にわたる業務をこなし、常にプロフェッショナルな対応が求められる秘書。
日々の多忙な業務の中で、自身のキャリアや働き方についてどのような理想を抱き、それがどのように実現されているのでしょうか? 2024年と2025年の秘書向けアンケート結果を比較することで、秘書の仕事に対する満足度、目指すキャリアの方向性、そしてスキルアップのためにどのような資格を選び、どのように活用しているのか、そのリアルな声が見えてきました。
この比較分析を通じて、秘書という仕事の魅力と、これからのキャリアを考える上でのヒントを探っていきましょう。
アンケート調査概要
調査対象:Olive News Letter(Oliveのメルマガ)購読ユーザー
調査手法:オンラインアンケート
調査期間:2025年4月16日~2025年5月10日
有効回答:55名
秘書の仕事への満足度は?

秘書が現在のキャリアに対してどの程度の満足度を感じているのか、2024年と2025年のアンケート結果を比較し、その背景にある要因を探ります。
両年ともに「とても満足している」または「やや満足している」と回答した秘書が過半数を占めており、秘書業務に一定のやりがいや充実感を感じている方が多いことがわかります。
しかし、その割合は2024年度の65.4%に対し、2025年度は53.8%と11.6%の減少傾向にあります。一方で、「やや不満あり」と「不満あり」の合計回答は、2024年度の14.6%から2025年度には23%へと増加しています。また、「どちらともいえない」という回答も3.1%増加しました。
これらの結果から、秘書の仕事に対する全体的な満足度はやや低下し、不満を感じる割合が高まっている傾向が見られます。 この不満の背景には、業務量、評価制度、キャリアパスの不明確さ、あるいは組織内における秘書への理解の度合いなどが影響している可能性が考えられます。
キャリアの分かれ道|スペシャリストを極める?マネジメントを目指す?

秘書が自身のキャリアパスとして、どのような方向性を志向しているのかを、2024年と2025年の傾向を比較しながら分析します。
両年ともに最も多かったのは、特定の分野を極める「スペシャリスト」志向でした。2024年度は32.7%に対して、2025年度は45.8%の結果になりました。この志向は2024年度と比較すると13.1%増加しており、秘書が専門性を深めることへの意欲が高まっていることが伺えます。特定の役員の秘書業務を極めたい、あるいは語学やPCスキルといった専門スキルを深めたいといった具体的な意欲が見られます。「社長秘書」という具体的な役職を目指す声も、このスペシャリスト志向の一環と言えるでしょう。
一方で、秘書部門の管理職や、他職種での管理職を目指す「マネジメント」への関心も一定数見られます。2024年度は18.2%に対して、2025年度は20.8%の結果になりました。こちらも2024年度と比較すると2.6%増加しており、自身の経験を活かして組織全体の効率化や後進の育成に貢献したいという意欲の表れと考えられます。「現在の部門で、細かな秘書業務は後輩へ任せ、秘書含めた幅広いマネジメント業務につきたいと思っています」といった具体的なコメントも寄せられています。
また、キャリアの方向性について「悩んでいる」「どちらでもない」と回答する秘書もいますが、その割合には明確な変化が見られます。
2024年度と比較すると、2025年度の回答では「悩んでいる」が9.9%減少し、「どちらでもない」も5.9%減少しています。 このことは、秘書の方々が自身のキャリアの方向性について、より明確な展望を持ち始めている、すなわちキャリアの方向性が固まってきている人が増加していることを示唆しています。
秘書が目指すキャリアパスは多様化

「今後どのようなキャリアを目指していますか?」のアンケート結果についてグラフの結果となりました。
「その他」が一番多いことがキャリアパスの多様化を示唆しています。続いて「社長秘書」を目指す方が多い結果となっています。
秘書がどのような働き方を理想とし、それが現在の環境でどの程度実現できているのかを、アンケートの自由記述から具体的な理想と現実のギャップを抽出して紹介します。
アンケートの自由記述からは、秘書経験をベースにしつつ自己実現を目指す、企業内での昇進だけでなく外に出てより柔軟な働き方を目指すなど、多様な声が聞かれました。
- 「独立」(秘書経験を活かしてフリーランスやコンサルタントになる)
- 「企業に所属しないタイプの秘書業務、または秘書業務に関してのTipsをまとめて提供したい」
- 「他職種へキャリアチェンジ」
- 「現在の部門で、細かな秘書業務は後輩へ任せ、秘書含めた幅広いマネジメント業務につきたい」
- 「今の担当役員が退任するまで。担当役員が退任した時が私の退職日だと思っている。」(特定の役員へのコミットメントの高さ)
これらの理想が完全に叶えられているとは言えない現状が、前述した「やや不満あり」「不満あり」と回答した秘書の背景にあると思われます。
しかし、一方で「自分自身でキャリアを考えて資格を取得したり、副業で経験を積んだりして、やりたいことを切り開いています」といった能動的な姿勢も見られ、理想実現に向けた高い意識も見て取れます。
秘書に人気の資格は「実用性重視」がカギ
不動の人気「秘書検定」
両年ともに「秘書検定」を圧倒的に多くの秘書が取得していると回答しており、その人気は不動です。これは、秘書業務の基本知識やマナーを体系的に学ぶ上で不可欠な資格であり、実務に直結する内容であるためと考えられます。
ビジネススキルの定番:MOS、TOEIC/TOEFL、英検
「MOS(マイクロソフトオフィス)Excel、Word、PowerPoint」はPCスキル向上に直結するため、多くの秘書が取得しています。
「TOEIC/TOEFL」「英検」といった語学系資格も依然として人気が高く、グローバル化するビジネス環境において、語学力が秘書業務に不可欠であることを示しています。 2025年のデータでは、これらの定番資格に加え「ビジネスマナー実務検定」「CBS(国際秘書)検定」「簿記」「貿易実務検定」など、直接的な業務効率化やビジネス理解に繋がる資格が取得されていることもわかりました。
趣味とスキルアップを両立する資格
秘書が趣味として取得した資格が、秘書業務に意外な形で役立っているのかを具体例を挙げて紹介します。
食に関する資格(ソムリエ、日本酒唎酒師など)
「BOSSへの日々の飲み物や手土産選定の際に役立っている」という声があり、名刺に資格を印字することで、手土産を渡す際の説得力が増すといった活用例も挙げられています。
「おもてなし」を深める資格(茶道、華道など)
「おもてなしの心」を培うだけでなく、「役員の私物を綺麗に包んでおいてと言われる場面が多いので」といった、実用的な場面での活用も紹介されました。
健康・福祉に関する資格(認知症介助士、手話など)
「障がいのある役員や高齢の役員がいるので」といった、特定のニーズを持つ役員やお客様への配慮に直結する活用例が挙げられ、秘書の幅広いケア能力を示しています。
その他(整理収納アドバイザー、キャリアコンサルタントなど)
「オフィスの整理整頓や仕組みづくり、仕事の優先順位付などで役に立っています」といった業務効率化への貢献や、「傾聴力を養い、コミュニケーションやメンタル維持も向上し、秘書業務にも役立っている」といった対人スキル向上への寄与が紹介されました。
憧れの先輩はどこにいる?ロールモデル事情

秘書が自身のキャリアを考える上で、参考にしたい「ロールモデル」の存在について、アンケート結果から見えてくる現状と、その見つけ方を考察します。
「ロールモデルがいる」と回答する秘書も多いですが、「いない」と回答した方もが過半数を超えています。ロールモデルを見つける場所としては、「職場」「社外コミュニティ」「メディア(雑誌・SNS・TVなど)」が挙げられました。職場の先輩は具体的な仕事ぶりを見られる、社外コミュニティでは多様な秘書と交流できるといったメリットがあります。
しかし、中には「秘書は、ただのお茶くみ要員と思われている会社なので、ロールモデルはいません」といった、職場の環境がロールモデルの不在に繋がっているケースも存在します。 それでも、「ロールモデルはいませんが、自分自身でキャリアを考えて資格を取得したり、副業で経験を積んだりして、やりたいことを切り開いています」という声もあり、既存のロールモデルに頼らず、自ら道を切り拓く主体的な姿勢を見せている人もいました。
まとめ|自分らしいキャリアを描くために
秘書という仕事は、定型業務をこなすだけでなく、組織の中核である社長や役員のそばで多角的な視点と高い専門性が求められる、やりがいのある職種です。
キャリアに対する「やや満足している」が最多という結果は、現状に満足しない、向上心と成長意欲の裏返しとも言えるでしょう。
スペシャリストを目指すにせよ、マネジメントに挑戦するにせよ、あるいはまったく新しい働き方を模索するにせよ、大切なのは「自分はどうなりたいか」という明確なビジョンを持つことです。
ロールモデルが身近にいなくても、様々な情報源からヒントを得て、積極的にスキルアップに投資し、社内外のネットワークを広げることで、あなたらしいキャリアの道は必ず拓けます。 日々の業務で培われる多様なスキルと経験は、秘書という枠を超え、あなたの未来を形作る大きな財産です。
自信を持って、自分らしい理想のキャリアを描き、実現に向けて一歩を踏み出しましょう。

Olive編集局
「秘書の仕事を考えるOliveブログ」編集局です。このブログでは、日本秘書協会様によるゲスト寄稿や、秘書業務のハウツーやOliveの便利な使い方コンテンツをお届けします。みなさまの、いまの秘書業務の改善やこれからの秘書業務のあり方に、なんらか参考になれば幸いです。