秘書の仕事を考えるOliveブログ
最新動向 年賀状作成で秘書が今確認すべきポイントとは
近年、年賀状の送付を廃止する企業が増えています。役員と同じ目線に立って行動する秘書としては、廃止や継続の判断に役立つ基準を把握しておくと、「年賀状どうする方がいいと思う?」と聞かれた時でも慌てずに対応しやすくなるのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスにおける年賀状の廃止や継続を判断する際に、秘書が押さえておきたいポイントを紹介します。
2024年10月から値上がりした年賀はがきの料金
2024年から年賀はがきの料金が63円から85円へと約35%引き上げられました。1枚あたり22円の値上げですが、数千枚単位で年賀状を送る企業にとっては、このようなコストの増加も年賀状廃止の検討材料となるかもしれません。
【料金の比較(1,000枚あたり)】
旧:63円×1,000=63,000円
新:85円×1,000=85,000円
→22,000円のコストアップ
近年増加傾向 年賀状廃止
ペーパーレス化や年賀状を配達する際に排出される二酸化炭素の削減など、環境保全を理由に年賀状を廃止する企業が増えています。一方で年賀状の購入が社会貢献につながる年賀寄付金をご存じでしょうか。実は寄付金付年賀はがきや切手を購入することで、その代金の一部が社会福祉や災害救助などの支援に充てられるのです。年賀はがきには、こうした社会的な側面もあります。
年賀状の手配は、年末の秘書業務の中でも特に負担の大きい仕事のひとつだといえます。宛先の確認やリスト作成などに毎年、苦労している方も多いのではないでしょうか。
一般的には新年の挨拶とともに近況報告や感謝の気持ちを伝える年賀状ですが、ビジネスにおいては取引先との関係を築くための大切なツールでもあります。年賀状の廃止を検討する前に、まずは役員が年賀状を送る目的を再確認してみましょう。
やめる?続ける?年賀状廃止のメリット・デメリット
年賀状の廃止には、役員にとって秘書の業務効率の向上や事務コスト削減などのメリットがある一方で、取引先や顧客との関係性に影響を与える可能性もあります。
▼メリット
・コミュニケーション手段の見直し
形式的な年賀状を廃止することで、時代の変化に応じた新たな関係構築の手段を検討する良い機会となります。
・業務効率の向上
送付リストの確認や手書きメッセージにかかる時間がなくなることで、役員や秘書は通常業務に、より一層専念できるようになります。
・企業イメージの一新
時代の変化に対応し、ビジネスの効率性やデジタル化を重視している姿勢を示すことで、「革新性を持つ企業」として取引先に好印象を与える可能性があります。
▼デメリット
・取引先の情報を得る機会の喪失
年賀状送付の際に行うリスト確認は、社長交代や本社移転など取引先の現状を把握する恰好の機会になっています。
・役員の人脈整理の機会の喪失
今年から関係を得た取引先や、最近付き合いが減っている取引先など、役員の最新のお付き合い状況を把握するタイミングが減ってしまうことが懸念されます。
・ビジネスチャンスの減少
名刺交換をしたものの関係が弱い取引先や、最近関わりが減ってきた取引先に自然なタイミングでアプローチできるチャンスが減るといえます。
年賀状廃止後の検討事項
年賀状廃止決定後に検討しなければいけない事項は以下のとおりです。
▼段階的な廃止
長年続けてきたことをやめる際には、役員の決断はもちろん取引先への配慮も欠かせません。まずは頻繁に会う機会がある、つまり年賀状以外で年賀の挨拶ができる取引先のみ廃止するなど、段階的に進めてみることで、廃止後の取引先との関係性を維持・強化するための代替手段を模索するのも一つの手です。
▼廃止の文面作成
廃止に際しては、角が立たないように配慮した文面で周知することが大切です。取引先への敬意が伝わる内容かどうか、役員にも確認してもらいましょう。
▼廃止を伝えるタイミング
年賀状の送付とともに伝える場合は、年賀状に「今年をもって年賀状のやり取りを終了します」を伝えるのが最も自然です。
年賀状の送付とは別に伝える場合は、年賀状シーズンが始まる前の秋頃、遅くとも10月から11月頃がよいでしょう。12月だと先方に迷惑がかかる可能性があるため避けましょう。例えば、先方が印刷会社に宛名の依頼をした後に、年賀状廃止の通知をしてしまうと、急遽送付中止の手続きをさせてしまうことになったり、投函後に知らされてしまうと、配達前に郵便局で取戻請求をしてもらうといった手間を強いてしまったりする恐れがあります。
▼返礼対応
年賀状廃止を周知した後でも、一部の取引先から年賀状をいただくことがあります。その際は返礼した上で、改めて年賀状を廃止した旨を伝えるほうが良いでしょう。関係を損なわないよう、状況に応じて丁寧に対応することが大切です。
▼デジタル年賀状の活用
年賀状の廃止に迷われている方には、デジタル年賀状も一つの選択肢です。すでに一部の企業では、紙の年賀状とデジタル年賀状を併用し、新たな方法を模索しています。 ただし、紙の年賀状に比べて開封率が低く、必ず読まれるとは限りません。また、デジタル年賀状には特有の注意点もあります。例えば、「宛先を間違えない」「文字化けに気を付ける」といった点が挙げられます。
年賀状廃止後も情報はデータで管理しよう
年賀状は取引先の最新情報を把握する機会ですが、年賀状の廃止後も役員の財産である顧客情報の管理・更新は続けていきましょう。
送付先リストをはじめ、お歳暮や面会記録といった過去のやり取りをデータで管理して「もおくことで、秘書間で情報共有ができたり、後任の秘書にすぐ引き継げる状態を整えたりできます。取引先や顧客の情報を一元管理する秘書システムを使えば、より効率的に人脈管理ができ、秘書の業務負担も減らせるでしょう。
まとめ
年賀状の廃止は、取引先との関係性の終わりを意味するものではありません。時代の変化に応じた柔軟な対応が求められる今、アナログとデジタルの手法をうまく使い分けて、役員が築いてきた大切な人脈が途切れないよう、秘書がしっかりとつなげていきましょう。
Olive編集局
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