秘書の仕事を考えるOliveブログ
【イベントレポート】秘書に求められる危機管理 – 秘書自身で行うこと、組織で行うこと –
2023年10月19日、株式会社シーエーシーは一般社団法人日本秘書協会 顧問 及川学 氏をお招きし、「秘書に求められる危機管理 – 秘書自身で行うこと、組織で行うこと – 」と題したオンラインセミナーを開催しました。当日は400名を超える申し込みがあり大盛況のうちに閉幕いたしました。本イベントレポートではその内容をダイジェストでお伝えいたします。
【プログラム内容】
第一部:秘書システムOlive Ver.2のご紹介(株式会社シーエーシー 伊藤)
第二部:特別講演「秘書に求められる危機管理」(一般社団法人日本秘書協会 顧問 及川学 様)
【登壇者プロフィール】
一般社団法人 日本秘書協会 顧問 及川 学
東証2部上場のIT企業で20年近く秘書・経営企画の管理職を経験。日本秘書協会では、秘書管理職委員会の統括責任者として、全国の秘書管理職の問題解決や課題達成を支援。同協会の認定講師として「経営サポート力講座」「秘書基礎講座」「実践 危機管理セミナー」「新任秘書管理職講座」「秘書のための経営知識」などを担当。
■第一部:秘書システムOlive Ver.2のご紹介
紹介内容を一部抜粋・要約しています。
1.秘書システムOlive Ver.2の変更点について
1993年にOliveを発売 して以来、現場の秘書の方のご意見やご要望を取り入れて、毎年、機能改善や新しい機能の追加を行ってまいりました。そして、このたび大規模改修として2022年7月にユーザーインタフェースを大幅に刷新したOlive Ver.2をリリースいたしました。新しいOliveは、Ver.1の基本的な機能はそのまま残して、より使いやすい画面への変更、操作性の改善など、利便性の向上を図っています。
例えば、表示させたい役員や会議室、お車を選択して一つの画面で予定を見ること ができたり、新しく追加されたプレゼン機能で役員の方の状況を確認したりすることができます。また、日英2か国語対応や各国のタイムゾーンに対応しましたので、海外出張の予定や時差がある拠点とのスケジュール調整もスムーズに行っていただくことができます。さらにマルチ デバイス対応になりましたので、いつでもどこでも端末を選ばずOlive を使っていただくことができます。
秘書業務の多くは役員のスケジュール管理となりますので、Oliveでもスケジュール管理を中心に、予定に関する様々な情報を紐づけて管理ができるようになっています。
紐づけて管理できるものは、
①役員応接会議室の予約を行う「会議室管理」
②お車の手配状況を管理する「配車管理」
③受付の方と来客予定を共有する「来訪者管理」
④お客様情報を管理する「顧客管理」
⑤お客様とのお付き合い情報を管理する「慶弔贈答管理」
⑥接待で使うお店や手土産を購入するお店などを登録できる「接待場所管理」
があります。
これらを秘書の方の視点で、きめ細やかに一元管理していただくことができます。
【デモンストレーション】
イベント当日はデモンストレーションも行いましたので、詳細は下記より動画視聴の申し込みをお願いします。
2.他システム連携
1つ目が「Microsoft Outlook連携」です。Exchange Onlineによって、OliveのスケジュールとMicrosoft Outlookの予定を連携することができます。これを使えば自動的に予定が連携され、入力の手間を省くことができます。
2つ目は「Sansan連携」です。Sansanに登録された名刺情報を、Oliveスケジュール管理、慶弔贈答管理と連携して登録できる機能を標準搭載。名刺情報と同じ内容を入力する手間を省くことができます。
他システムについても連携するためのAPIも提供しているため安心です。詳しくはお問い合わせください。
■第二部:秘書に求められる危機管理
講演内容を一部抜粋・要約しています。
1.秘書特有の危機管理とは?
「総務主導の全社危機管理の取り組みは実行しているが、秘書特有の危機管理とは何かよく分からない」昨年、こんな質問を受けたことがあります。
全社の取り組みは、例えば、コロナ禍においてマスク着用を原則としたりアクリル板の設置をしたり、皆さん危機管理の取り組みをやったと思います。秘書の方の危機管理項目といえばいろいろとありますが、『現代 秘書 ハンドブック』(現在は絶版)という書籍には“秘書の資質”8項目が書かれています。その中の6番目「社交性と非社交性」では、秘書の仕事の3分の2は人との接触であり対話力など社交性が必要だが、社交的すぎると機密情報が漏れないかと役員を不安にさせることがある。なぜなら、多くの書類や秘書に話したことはわざわざ機密情報と記していないため、秘書自らが感知して判断しなければならないからです、といった内容が書かれています。秘書としては、これも一つの危機管理になります。
新聞に掲載された例をお伝えします。
2022年10月5日の日本経済新聞に掲載されたインサイダー取引についての記事ですが、公表前の会社の重要事項を知人や親族にほのめかしただけでも摘発されたことが書かれています。インサイダー取引と認められた場合は課徴金納付命令だけでなく刑事告発までされるくらい、今は厳しいです。例えば、残業が続いて帰宅時間が遅くなったときに家族から「最近帰りが遅いんじゃない?大丈夫?」と言われた際に「今、大きな新商品を開発していて、それが大変なんだ」とうっかり伝えてしまったとします。その場合、家族が株を買わなかったとしてもその知人や友人に話した結果、株を購入してしまうと、インサイダー取引となる可能性があります。様々な危機管理の中で、このようなところでも機密ということは重要視されています。
他にも、こんな事例があります。
とある大手企業の話ですが、その昔、社長室立てこもり事件というものがありました。元社員が社長と秘書室長を人質に刃物を持って社長室に立てこもった事件です。
この事件が起きる前、社長は役員フロアのエレベーターホールの前を歩いていたそうなのですが、たまたま自身が工場長時代の元部下がそこにいたそうです。久々の再会ということもあって社長室でお茶でも飲んでいけと言って、社長室に連れていったところ、元部下がいきなり出刃包丁を出し、たまたま居合わせた秘書室長とともに人質にされたという話です。実は、その元部下はリストラされた元社員で逆恨みをしていたということだったのですが、元社員だから大丈夫とかはないのです。皆さんの会社では役員フロアは部外者や一般社員は入れないようにしているなどあるかもしれませんが、本当にそれで完璧なのか。今一度リスクを考えるべきです。
リスクというと自然災害や感染症、サイバー攻撃などが挙がると思いますが、他にもオペレーションミスでの情報漏洩や人材流出、社会経済環境リスクではテロなどリスクはたくさんあります。
リスクが発生した際には皆さんの会社の役員は対応をしなければならない。すべてを事前準備することはできないので、発生ベースで対応することもあります。
秘書の皆さんは、なにかあったときに役員をサポートしなければならないことを、ぜひ意識してもらいたいと思います。
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2.及川氏の危機管理の経験
秘書6年目。私が41歳の時です。当時の社長が駅で倒れ、急いで病院に行きました。我々秘書の用語で言うと、Xデーですね。…
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3.一次データは大事
秘書のメモは一次データです。一次データというのは何かと言いますと当事者が発生当時記録したものですから、役員が誰かと打ち合わせした時のものは全部一次データになります。そして、それ以外は二次データになります。
二次データは後日、当時を思い出して記録したり発言したりしたものなどになります。例えば、3年後に「あの時上司とこういう打ち合わせをしました」と言っても、それは二次データになりますので信用度が低いわけです。ですから、皆さんがメモをしているものが一次データとなり大事になってくるのですが、ここで注意したいのは「誤記」とか「訂正」をする時です。例えば、社長から子会社A社に連絡しておいてほしいと言われたことを間違ってB社と書いた場合、B社の部分に線を引いてA社と書き直すことがあると思います。ただこれだと、その事実確認や株主代表訴訟、刑事事件などがあった時に、これが間違い なのか訂正なのか判別ができなくなります。このことを防ぐために、私は会議や社長と打ち合わせが終わったあと自分で書いた訂正や誤記を消しゴムで消して上に書き直すようにしていました。基本的には書いてあることが全部正しい一次データということになります。
他に大事なのは会議で発言したのは誰か、反対意見まですべてメモに残すことです。そうすることで事実確認や株主代表訴訟が起きた時に、このメモも証拠として取り扱うことができます。ですので、皆さん のメモも大事な一次データとなります。参考にしていただければと思います。
4.秘書が身につけるべきIT・AIスキル
秘書の危機管理の中で、コロナ禍で変化したITに関する役員へのサポートについても話をしていきたいと思います。例えば今、ChatGPTが非常に話題になっています。こうした生成AIの危機管理実態を秘書管理職の集まりがあった2023年7月に独自にアンケートを取ってみました。ChatGPTやその他AIを使うための制限やルールがある会社は? と質問してみたところ参加した25%の会社はルールがありました。(ルールの詳細は)例えば、重要事項や営業機密を入力しないなど、そういったルールでした。
さらに、秘書室でも使いこなしているところが数社ありました。秘書管理職は基本的にはChatGPTやAIを使うべきか? というよりは、どう活用するか? に変わりつつあると感じている人が多かったです。
実際に使ったことのある秘書室長の話ですが、例えば、あるお客さまの会社の詫び状でいろんなキーワードを入れなくてはいけないため作成が難しく、 それをAIに文章を作ってもらい最後の仕上げは自分でやるということをしているようです。また、とある会社の秘書の話ですが、社長から海外出張する直前にあるスピーチを思いついたから翻訳してくれと頼まれたそうです。でも、飛行機が出るまで時間がなくて困ってChatGPTに入力し、仕上げて出したということもあるようです。
(中略)
このように、会社でガンガン使っているところもありますし、秘書でも管理職の人 がすでに使っている例もあります。でも、(先程も話したように)使用制限ルールなど気をつけなければならないことがあります。また、こんな報告がありました。海外拠点から自分の役員のところにレポートが来たのですが、それが英語ではなかったようでAIを使って翻訳をかけてみたそうです。翻訳してみて分かったそうですが、翻訳したものを見たら営業機密が含まれていたそうです。こういうことが起こり得ます。
このようにITが進歩している中で、秘書としても、やはりITの知識 やスキルが必要になってきます。使うと業務のスピードが上がりますし、便利です。けれども、皆さんのスピードが上がった分、役員が求める皆さんへの対応スピードも上がっていたりします。
(中略)
そういう中で1つ考えなくてはならないのは、即応力です。
役員の皆さんって忙しいです。今はオンライン会議だと本当に分刻みのスケジュールだったりしますし、面会も多いです。その中で、役員を楽にするサポートは皆さんの大事なミッションの1つではないですか。そのためには役員から聞かれた時に、その場で答えられる即応力が大切です。もう1つは、役員への情報提供。いろんな情報を調べておいて、役員が自分で調べる時間を短縮してあげることが大切です。
5.これからの秘書は提案型秘書が求められる
最近、秘書の管理職はこのような言い方をしています。「受注型秘書」これは役員から言われたことだけをやる人のことです。そうではなく、やはり役員に「これはどうですか? こうじゃないですか?」など、提案する「提案型秘書」というのが、これからは大事になってきます。ただ、「提案型秘書」だったら何でもいいわけではなく、…
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6.秘書の危機管理 組織で行うこと 12のヒント
それでは今日話しました危機管理の中で、組織で行うことと個人で行うことの、まず 組織で行うことを12個ご紹介したいと思います。…
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以上、特別講演「秘書に求められる危機管理」はいかがでしたでしょうか。 続きは下記「動画視聴の申し込み」からお申し込みいただくことで視聴ができます。
<イベント動画に収録されているその他のトピックス>
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Olive編集局
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