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雑談力

コロナ禍になってからビジネスシーンでは、オンラインツールを使った面談、会議やセミナーが定着しました。私も多い時には日に5件以上のオンライン面談を行う時があり、面談では必ず5分前、セミナー講師では30分前に接続し、回線状況や画面レスポンスなどを確認して、万一の時に対処できる時間を確保しています。

オンライン面談で少し気になることがあります。面談を申し込んできた相手が、雑談はほぼ無しで、すぐ本題の説明に入り、終わるとさっと退室してしまうことが多いことです。オンラインを使うことになって、面会時の雑談がかなり減ってきています。

雑談は、字のとおり雑多な話なので、無駄話と捉えている人が多いのではないでしょうか。今の30~40歳代の方のなかには、入社教育や先輩から以下のように教え込まれたと聞いたことがあります。

  • 仕事とプライベートは分けるべき。
  • 雑談はせずに、商品の話をしなさい。
  • 仕事の時にプライベートの話をするのはフェアじゃない。
  • 仕事人間になると不幸になる可能性が高い。
  • 理屈に合っていることや、理論的がすばらしい。

 
これらの正否は別として、バブル時代の反動からこういう話が出たのかもしれません。私は、14年間の営業経験や20年を超える秘書、社内外講師の経験から、雑談やプライベートの話の方が人を引き付け、近づける時があると感じています。趣味の話、昨日観たテレビの話、失敗談、子供の時の思い出などを、面談や講義の最初にすることで場を和ませます。むしろ、最初から商品や講義の本題に入ると、相手はまだ聞き入るモードになっていないのではと思う時があります。

今は客先に訪問することがあまりできずオンライン面談中心になりますから、以前の訪問時のように顧客のオフィスやその周りをよく観察し、改装や新しく導入したものはないのかなど確認することができません。オンライン画面の背景もオフィスではなく、風景写真などを使っている人もあります。そのため観察力も少し落ちていると思います。

ビジネスではもちろん、秘書の世界でも、大切なのは相手を理解することです。役員に指示されたことだけではなく、指示されなくても必要と思われることを知りサポートをするには、観察や雑談などの高いコミュニケーション力が求められます。

『人は自分の話を聞いてくれる人に、より多く語りかける。
人は自分の話を聞いてくれる人の、言い分を認める傾向にある。』

 

優秀と言われるビジネスパーソンほど、顧客や社内との雑談が多いと言われています。 用件の話が大切なのは当然ですが、それを効果的に伝えるためには、雑談による信頼性の構築が大事だからです。仕事で初めて話す人やあまり良く知らない現場の人に対し、雑談をするのは苦手なものです。秘書は忙しいので、できたら用件だけで済ませたいと思うこともあります。しかし、雑談などでのコミュニケーションによってお互いの信頼感と親近感が湧けば、10話しても伝わらない相手に対し、2~3で伝わることもあります。

秘書の皆さんが、役員に来客があり、初めにお茶をお持ちした時に、役員が最近のニュースやゴルフなどの雑談をしていて、40分経ったあたりに今度は珈琲などをお出ししに行った時も別の雑談をしていることがあります。ずっと雑談ばかりしていたのではないのでしょうが、役員同士のビジネスシーンでは雑談のようなものに、ある程度の時間を使うことがあります。前述のとおり信頼感と親近感を得るためと、相手の思考性を把握するためと言われます。

私は、面談やプレゼンテーションは、説明のための場でなく、こちらの考えや言い分を理解し納得してもらうコミュニケーションの場だと思います。しかし、それを説明の場だと考える人が多いので、オンライン面談では、開始早々、雑談もなく、説明画面を共有にしてずっと一方的に話すということが行われ、質問は最後か、後日アンケートで回答願いますということになります。

役員には会話が上手な方がとても多くいます。コミュニケーションが得意ではないと、ビジネスをリードすることができないからです。その会話が巧みな役員につく秘書にも、高いコミュニケーション力が求められます。「ランサムウェアって何」「iPadって難しいの」「ペットは飼っているの」と役員から聞かれた時に秘書は、その質問が “本当に知りたいための質問” なのか “秘書を試しているための質問” なのか “自分がそのネタを話したい質問” なのかを瞬時に判断し、対応しなくてはなりません。「ペットを飼っているの」と聞かれたら、これは “自分がそのネタを話したい質問” だと判断して、「いいえ、私は飼っておりませんが、XXX役員は何か飼っていらっしゃるのでしょうか」と答えることが必要です。役員は最近飼いだしたペットが可愛くて誰かに話したかったのかもしれないからです。

現場の部長から役員へのアポイント確認のための電話にでたら、長々と雑談をされることがあります。この対応などコミュニケーションによってお互いに親近感が湧けば、別の機会にこちらがその部長にお願いごとがある時に、10説明しなくても2~3で話が通じることもあるかもしれません。私は秘書時代には、月に1度の取締役会に来る社外役員とのコミュニケーションを大切にしていました。社外という立場で、当社の重要な経営判断に参画される社外役員に、自分を通して少しでも自社をご理解いただきたい思いがあったためです。

秘書は、役員への来客や社外役員と話す機会があります。そういう時に雑談力を発揮し、役員や自社のイメージ向上につなげることも大切です。

このコラムの執筆者

及川 学

一般社団法人 日本秘書協会
 理事
 秘書管理職委員会 委員長

東証2部のIT企業で20年近く秘書・経営企画の管理職を経験。日本秘書協会では、秘書管理職フォーラムの責任者として、全国の秘書管理職の問題解決や課題達成を支援。コロナ禍においても秘書のテレワークなどに関する相談先として対応。同協会の認定講師として「経営サポート力講座」「秘書基礎講座」「新任秘書管理職講座」なども担当。

著書:
・『秘書室長実践マネジメントマニュアル』
  代表著者(アーバンプロデュース社)
・『よくわかる経営知識
  (日本秘書協会)

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