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秘書、そのあとのキャリア

 秘書管理職から時折、秘書のキャリアや異動先についてご相談を受けます。ある会社では、期初から半年が過ぎたころに秘書と管理職が面談し、秘書室から異動する場合、どのような仕事、部署にいきたいかを毎年確認しています。着任後間もない秘書1年生にも聞き、10年以上の在籍者にも聞きます。
結果として、異動時にそのとおりになる場合もあれば、そうならない場合もあります。この面談は、今後の異動の参考というよりも、その時点の本人の意識や意欲の確認に重点をおいています。
 面談時期が期末や定期人事異動の直前にせず、半年が過ぎた時期に行うのは、日ごろから本人がきちんと考えているか、また前年の面談から意識などに変化があったかを確認し、担当分野、育成プランや目標設定の追加・修正をはかるためです。

 秘書の異動先について、管理職が集まるフォーラムで調査をした事があります。過去3年間に秘書室から異動した方の仕事の分野は主に以下のとおりでした。

● 管理・企画系へ異動
  経営企画、事業推進、教育、広報、IR、SDGs、リスク管理
  総務、人事、法務、現場秘書、現場スタッフ

● 上記以外へ異動
  営業、営業アシスタント、新規事業開発、製品開発
  海外事業部、通訳、秘書に来る前の職種に戻る

ポイントは3点です。
① 秘書での経験を活かす
② 自分の強みを活かす
③ 秘書で学んだ事をきっかけにして、自分の挑戦したい分野に行く

実際の事例として以下のような発表がありました。

① 秘書での経験を活かした例

  • 社長や会長の秘書を長年経験後、経営企画部、議員や官僚の対応部署や法務部へ異動。
  • 専務以上が主催するプロジェクトや、グループ社長会や役員OB会の事務局を経験後、広報部や営業企画部へ異動。

② 自分の強みを活かした例

  • 海外の子会社や主要パートナーを担当する役員の秘書を長く務めた後、貿易、海外向けの法務、マーケティング部門へ異動。
  • 慶弔、マナー、接客などのビジネススキルを活かして、顧客対応、教育部門へ異動。

③ 秘書で学んだ事をきっかけにして、自分で挑戦したい分野にいった例

  • 役員との遠隔コミュニケーションやリスクマネジメントに興味を持ち、社内では対応部署がないので、子会社に異動。その後ベンチャー制度を活かして共同事業立ち上げ。
  • 秘書を極めるため転職。

 

 この調査でとても重要なのは、これらが“異動した結果に過ぎない”という事です。この中の何割かは本人の希望に沿った異動でしょうが、残りは希望以外です。しかし、希望以外だから、嫌々異動したとは限りません。奮起のきっかけになり、そこで成功した例も多いと思います。

 この調査結果を検討するにあたり、 “本人に意思とスキルと準備”があったのかという視点で考える必要があります。
 転職支援会社が出している資料には、秘書からこういう部門に異動した例があるといった事が書いてありますが、本人の希望が強かったのか、支援会社が相当プッシュしたのかはわからないのです。 

 多くの異動を見たり、事前のアドバイスを私が行ってきた上で、“秘書、そのあとのキャリア”を考えるのに必要な要素は、秘書のキャリアは本人の意思、スキルと準備次第という事です。
 会社に秘書のローテーション年数の規定があっても、何度かの面談や本人の日ごろの活動、スキルをみて、その規定を変えて行った異動もあります。
 会社法など経営に関する法務を、秘書がどうしても勉強したいと異動を申請してきた時に、その秘書が秘書管理職候補の場合や、担当役員が離さないなど異動が難しい場合でも、秘書室に籍を残して、1~2年だけ研修交流という名目で法務で勤務させたというケースもあります。その後、本人や法務部門がどうしてもそのまま残るという希望なら法務に異動します。一方、法務勉強の糸口や人脈などが築けたので、秘書に戻るケースもあります。
 これらの例は、特例を話しているのではありません。本人に十分な秘書スキルがあり、法務への関心や勉強もしていて意思も強い場合は、その実現に向けて周りが動いてくれる事もあるという事です。   

 長年担当していた役員が急な病気などで退職となり、別の役員への担当替えか他部署への異動を検討する事になっても、管理職が最初に本人の意思を聞きに来て、その結果、異動希望やそこでの活動プランが明確な場合は、希望移動先の部門長や人事との交渉でも、管理職が本人のスキルと意思を強く訴えるか、過去の実績などを示せばかなり実現する事もあります。

 つまり、かなりの確率でキャリアは本人次第です。突然の異動機会や定期ローテーションの時に備えて、日ごろより勉強し、いま担当として取り組んでいる事が大切になります。そうでない人は、今後も秘書で務まるか不安、秘書はつぶしがきかないから不利、会社がキャリアを示していないなど、自分以外の事を理由にします。転職して他の会社の秘書をする場合でも、不安ですし、社風などが合わない時もあります。現場でも営業職の人が、隣の列にある別の営業課に行くのでさえ不安になる人もいるのです。また、AIなどのITは便利で使いこなそうと、検索、資料まとめなど頼ってばかりいると、ITがないと、文書作成や資料まとめにやたら時間がかかり役員をイライラさせる時があり、役員との打合せメモもタブレットの中なので、急ぎや持っていない時は見ることもできないし、内容を覚えてもいないと言った、ITが無いと何もできない秘書が増えています。それで会社に不満があり転職したら、転職先の会社のITがこれまでと異なる仕組みで使えなかったり、IT機器があまり無かったりして、すぐ再転職を考える・・・という事が起こります。ITが持ち込めない遮断された特別な場所や海外でも、役員から頼られ、それに応えられる秘書でなければ役には立ちません。ITに頼りきりなのはリスクがあります。

 秘書は忙しい。その中から時間を見つけて、自分のやりたい事を、4ヶ月サイクル位で考えるようにすると、1年半後にはだいたい整理ができます。また、他社の秘書経験者や異動経験者に直接会って話を聞くのも有効です。実際に、異動で成功した本人にメールや会って話を聞くと、あー、その人が特別だったからだからできたのだと思う時もありますが、まったく違います!その人には、ある程度のスキルと意思があり、秘書時代から準備をし、チャンスが来た時に掴んだだけで、当たり前なことなのです。

 何度かOlive秘書セミナーで話しているとおり。棚の上に牡丹餅を準備して置いておかなければ、棚ぼたさえないのです。買わない宝くじが当たらないのと同じ。

秘書、そのあとのキャリアのために、今からでもすぐ準備を始めることです。

このコラムの執筆者

及川 学

一般社団法人 日本秘書協会 
  ・ 元 常任理事
  ・ 秘書管理職委員会 総括責任者
  ・ 認定講師  「新任秘書管理職講座」などを担当

■職歴
東証2部IT企業で秘書課長、経営企画部長などを経て 上席理事企画推進本部副本部長、コーポレート本部副本部長、 イノベーションセンター長(本部長)関西支店長(本部長) などを歴任。
退職後、 一般社団法人信書便事業者協会事務局長、一般社団法人日本セルフストレージ協会事務局長を勤める。

■資格  
中小企業診断士
BCAO認定事業継続初級管理者(国内BCP資格)

■著作 
『秘書室長実践マネジメントマニュアル』代表著者(アーバンプロデュース社)
『よくわかる経営知識』 (日本秘書協会)

■講師歴 
経済産業省、総務省、日本秘書協会、 日本アイ・ビー・エム、
税理法人トーマツ、新日本石油、ボストンコンサルティング、
セブンイレブンジャパン、日立製作所、イオン、
ブリヂストン、他

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