Home > ブログ > 秘書に求められる手土産選びのストーリー 〜百聞は一食にしかず？〜

　ビジネスシーンにおいて「手土産」はおもてなしの立役者の一員と言える存在です。役員の接待を成功させるため、秘書の方々からはお店の選定はもとより、手土産の選び方やお渡しする際のマナーについてしばしばご相談をいただきます。情報が溢れる時代だからこそ、選択には一層の慎重さが求められます。相手との良好な関係を築くための一助として、接待の目的や状況、お渡しする場面、そして相手の背景を充分に考慮して、最適な手土産を選び出すことは容易ではありません。会食を終えたお客様に、好印象をお持ち帰りいただくためのエッセンスとして登場する手土産には、会社や役員のセンスが感じられるものです。秘書のさりげない手腕が光る場面です。

　私も秘書として働いていた当初、役員の接待時の手土産を用意するために、良品を探すことが日常となっていました。しかしながら、ある時役員との会話の中で、役員の地元に自身のお気に入りの品があると伺ったことを機に、以降手土産をその品に統一することができました。ご用意する手土産は「いつものアレ」として、取引先やお客様からも広く親しまれ、大変喜ばれるようになったのです。幸運にも役員との連携と信頼できる老舗の逸品との巡り合わせから、「とっておきの手土産」を作り上げられたことは、当時私の業務の一つを整理し、効率化することにも役立ちました。また、役員との日頃のコミュニケーションが役立ったことを実感したエピソードです。

　ただしこのように手土産の定番を作り出せることは稀です。実際にはさまざまな機会において、どのような基準でどんな手土産を選ぶべきか迷うことも少なくありません。Oliveブログの「秘書が選ぶ！外さない手土産や贈り物のおすすめ16選」や、スイーツ特集の情報誌、ネットで情報を得ることは有益だと考えます。ただし、これら多くの情報から最適な手土産を選定するために大切なのは、役員の仕事や役員を取り巻く人間関係という大きな括りの中で、自分なりの手土産ストーリーを描けるかどうかです。つまり、なぜその品を選んだのか自信を持って語れる理由を見出すことが重要なのです。

　そのためには、極力実物を見て、触れて、できれば味わうなど、秘書そしてビジネスパーソンとしての知的好奇心を高め、視野を広げる努力を惜しまないことがポイントです。素敵なパッケージ、袋、包装紙、量、重さ、そしてテイストにも目配り・気配りを怠らず、アンテナを張っておくことで、プライベートでもブラッシュアップが図れます。たまの休日に、新しい商業施設や行きつけでない百貨店の地下街を覗いてみるなど、日常にちょっとした変化を加えると、新たなインスピレーションのかけらが見つけられるでしょう。「百聞は一見にしかず」、できれば「百聞は一食にしかず」。楽しく見聞を広めていただけることを期待しています。

　また、スキルアップやキャリアアップを目的とした秘書のためのオフサイトセミナーでは、「手土産マルシェ」と題して、現役秘書が厳選した品々を集め、参加者がそれらの品を試食しながら楽しく手土産談義を行い、活発な情報交換を行う場も企画・運営されています。さらに同会においては、都内の老舗ホテルとのコラボレーションで、オリジナルスイーツの試食会を開催し、焼き菓子、クッキー、チョコレートほか、個人ではなかなか手に取ることができない特別な品々を味わう会も実施されています。積極的な街ブラやこのような交流会を活用して得た体験を通じ、「推し」を見つけてみてください。きっと、ご自身の手土産ストーリーを描く一助となることでしょう。