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Olive秘書セミナー2025

2025年10月22日、ベルサール八重洲にて「Olive秘書セミナー2025」が開催されました。
本セミナーは毎回定員を上回る申込みがある人気イベントであり、今年も多くの秘書・管理部門の皆様にご参加いただきました。

今回は、秘書業務の効率化を支援する「秘書室システムOlive」の最新情報をご紹介するとともに、特別講演として KDDI株式会社 より、「秘書業務の標準化と進化」に関する実践的な取り組み事例をご講演いただきました。

第1部:秘書室システムOliveのご紹介

第1部では、株式会社シーエーシー インテグレーション統括本部 産業ビジネス部 Olive事業推進グループの舟本より、「秘書室システムOliveのご紹介」と題して講演を行いました。

◆ 秘書業務の課題とOliveによる情報の一元管理

秘書の役割は、役員が本来の業務に専念できるよう支援することにあります。
その業務範囲は、スケジュール管理を中心に、会議対応、来客応対、慶弔関連業務など多岐にわたり、突発的に発生する業務も少なくありません。
以前、一般社団法人日本秘書協会と共同で実施した秘書業務の変化に関する実態調査において、「業務の効率化・生産性の向上」に課題を感じている現役秘書の方々が、とても多いことが明らかになりました。
実際の現場では、Outlook・Sansan・Excelなど複数のツールを併用しているケースが多く、その結果、「情報管理の煩雑化」「必要な情報の検索の難しさ」「更新作業の負担」「秘書間での情報共有不足」といった課題が生じやすい状況にあります。
これらの課題を解消し、秘書業務の効率化を実現するために開発されたのが「秘書室システムOlive」です。
Oliveの各機能のご紹介に加え、実際の導入・活用事例を通じて、その具体的な効果についてご紹介と併せて、秘書業務全体の情報管理を効率化することの重要性を強調しました。

第2部:特別講演 「秘書業務の標準化と進化 〜KDDI秘書室での日々の工夫と発見〜」

続いて、KDDI株式会社 渉外・広報本部 秘書室 秘書グループリーダー 早﨑善昭氏による特別講演が行われました。
早﨑氏は、KDDI秘書室のミッションを「役員や事業責任者のパフォーマンスを最大化すること」とし、その実現に向けた「標準化」と「進化」への取り組みを紹介しました。

◆ KDDI秘書室の課題:ローテーションと横連携の壁

KDDIでは、取締役を担当する社員秘書が3年ごとにローテーションする仕組みを採用しています。
この短いサイクルは柔軟性を生む一方で、教育負担の増加、引継ぎ品質のばらつき、新技術導入への慎重姿勢、情報共有の難しさといった課題をもたらしていました。

◆ 標準化への取り組み

これらの課題に対し、早﨑氏は次の3つの「標準化」施策をご紹介くださいました。

1. オンデマンド動画研修の導入

KDDI秘書室による新任秘書教育の取り組みが紹介されました。
同室では、秘書業務の基本である心構え、立ち居振る舞い、身だしなみなどを、ナレーション付きのアバター動画にまとめ、着任前に視聴できる仕組みを導入。これにより、研修内容の統一化と効率化に加え、KDDI秘書としてのあるべき姿を網羅的かつ的確に伝えることが可能になりました。

動画の中で紹介される言葉、
「秘書は人につく仕事です。役員が本来の業務に専念し、気持ちよく働けるよう支えることが使命です。」
は、KDDI秘書室における「秘書の役割(ミッション)」を端的に表すものです。
例えば、この考え方をすべての講師が同じ温度感で伝えられるようにすることが、教育の質を保ち、秘書業務を標準化するうえで重要であるため、秘書室における教育と業務の均質化を進める好事例としてご紹介いただきました。

2. 共通引継書の作成

従来は1対1での引継ぎにより、情報の網羅性や内容にばらつきが見られました。
そこで、オフィス管理・会議・来客対応・外出・慶弔など、10項目の共通業務を網羅した共通引継書を作成。さらに、そこに役員固有の情報(嗜好やルールなど)を加える形式を採用しました。
この方式により、引継ぎ時に「標準業務」と「役員ごとのカスタマイズ部分」が明確になり、引き継ぐ側・引き継がれる側の双方にとって分かりやすい形を実現。
共通引継書はポータルサイトで常時閲覧でき、必要なときにいつでも立ち戻れるよう構築されています。

3. スキル・ノウハウの「見える化」

イベントでは、KDDI秘書室が秘書実務能力開発機構と連携して行う「秘書インバスケット研修」の取り組みが紹介されました。
同研修は年1回実施され、秘書業務に求められる27項目(テクニカル・ヒューマン・コンセプチュアル)を数値化することで、個人および組織の強みや課題を可視化しています。
さらに、結果に基づいて専門家による1対1のフィードバックを行うことで、参加者自身の理解を深め、日々の業務改善につなげています。
早﨑氏は「この取り組みにより、個々が自身の得意・不得意を把握し、業務の進め方を見直すきっかけとなるとともに、管理職は組織としての課題傾向を把握し、今後の研修計画に生かすことができる」と説明。
そのうえで「スキルの見える化は非常に重要」と語り、取り組みの意義を強調しました。

◆ 進化への取り組み:サステナビリティとAI活用

続いて、標準化の先にある「進化」の取り組みとして、サステナビリティ活動とAI活用事例が紹介されました。

1. サステナブルな祝意プロジェクト

役員昇格時などの祝意対応について、祝電や祝花の代わりに社会貢献団体への寄付を推奨する取り組みを2024年2月に開始。
祝花の受領に伴う秘書業務を軽減しつつ、社会貢献を実現する新たな形として社内外で高く評価されました。
「今まで通りでも怒られはしないんですけど、ちょっと一工夫することで、いいものができる。」と早﨑氏はちょっとした工夫の重要性とその積み重ねの大切さを強調しました。

2. 生成AIの活用による情報収集の高度化

生成AIについては、まず「情報の質と幅の向上」を目的に活用を開始しました。
ChatGPTのリサーチ機能を活用し、面会予定者の思想や発信内容を短時間で要約し、役員へのブリーフィングの質を高めています。
早﨑氏は、AI導入にあたってのスタンスについて次のように語りました。
「AI活用のファーストステップとしては、秘書業務の質の向上や幅の拡大を目的としたほうが使いやすいと思っています。(既存業務の効率化から入るのは)心理的ハードルが高いと思ってます。使い慣れるという意味では、質の向上や幅の拡大を目的にすることから始めると、『あ、意外とできるかも』と感じました。」
「AI=業務効率化」という固定観念にとらわれず、まずは“質の向上”という身近なレベルから活用を始め、AIツールに慣れていくことが大切だという前向きなメッセージを戴きました。
講演の最後に早﨑氏は、
「秘書業務の標準化と進化は終わりのない挑戦であり、今後も他社との知見共有を通じて磨き続けていきたい」と締めくくりました。

懇親会

講演後は、デモブース(第1部で紹介されたOliveの機能展示)を中心に、軽食とドリンクを囲みながら懇親会が行われました。
参加者の皆様は、講師や他企業の秘書の方々と交流し、実務に関する意見交換を行うなど、
終始和やかな雰囲気の中で有意義な時間を過ごされました。

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